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猫の問題行動はなぜ起こるのか?環境エンリッチメントについて考える【獣医師監修】

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猫の環境エンリッチメント【獣医師監修】

噛みつき、粗相、同居猫への攻撃、懐かないなど、猫の問題行動は沢山あります。

原因が全く分からず「なんでこんなことするの?」と思ったことはないでしょうか?

もしかしたら猫の問題行動の原因は「環境エンリッチメント」かもしれません。


この記事では、猫がストレスなく暮らせる「環境エンリッチメント」についてご紹介します。


本サイトは、多くの猫を診察している獣医師の先生と、猫を10匹以上飼っている管理人が、それらの知見を基に情報を発信しています。

獣医療現場と、猫と暮らして得られた知識や経験がベースになっていますので、ぜひ参考にしてください。

執筆・監修者
山田あさか先生

・日本獣医生命科学大学、獣医学部獣医学科卒
・埼玉県の動物病院で16年勤務
猫の専門科catvocate取得、現在も猫さんの負担を考える診察を実施中


環境エンリッチメントの5つ要素

猫の環境エンリッチメント 寝てる猫
環境エンリッチメントの5つ要素

猫の環境エンリッチメントを考慮した、飼育ガイドラインが2013年にアメリカの猫学会(American Association of Feline Practitioners)によって提示されています。

以下の5つが、猫の飼育ガイドラインの大きな柱になります。

  1. 安心
  2. 必要物資
  3. 本能行動
  4. 距離感
  5. 嗅覚

猫の一生に責任を持つ飼い主さんであれば、猫の飼育ガイドラインとはどんなものなのかを知っておくのは大切です。


なぜ猫の環境エンリッチメントが大切なのか

猫の環境エンリッチメント のぞく猫
なぜ猫の環境エンリッチメントが大切なのか

猫の飼育頭数は増えていき、完全室内飼育は当然の条件になっています。

完全室内飼育によって猫は健康と安全を手に入れましたが、代償として本能を制限されている部分が多くあります

完全室内飼育の猫は本能が満たされないことで、特発性膀胱炎ストレス性の抜毛問題行動など、新たなトラブルが増えてきています。


少しでも完全室内飼育の猫が快適に暮らせるように、猫の安心感、本能行動、特性の観点から飼育ガイドラインは作られています。

全ての項目を満たすことは難しいかもしれませんが、全く知らないでいることと、知識はあっても出来ないという状況では大きく違います

出来る限り猫の暮らしを快適にできるように正しい知識を持ちましょう。

猫の粗相に関する記事は以下を参考にしてください。

【猫の粗相対策】猫のトイレ・砂は何がいい?


猫の安心できる環境とは

猫の環境エンリッチメント 箱の中の猫
猫の安心できる環境とは

猫は身を隠せる場所と、周囲を観察できる場所が必要です。

野生の猫は休む時に狭くて薄暗い自分だけの場所を好み、体調が悪い時は狭くて暗い場所を好みます。

逆に見晴らしの良い高い塀の上で伏せている猫もよく見かけます。


室内飼育の猫が、窓辺に寝そべって外を眺めていることも多いはずです。

猫は『休む場所』と『外を眺める場所』そして『安全な通路』が必要です。

具体的には、以下のような場所を用意しましょう。

  1. 段ボールやキャリーバックなどの身を隠せる場所
  2. 外を眺められる窓辺
  3. キャットタワーや棚など、他に邪魔されない見晴らし台
  4. 他の猫に邪魔されない通路


身を隠せる場所

キャリーバッグが猫にとって安心できて、休める場所になるようにトレーニングするのは大切です。

キャリーバッグの中で特別なご褒美やフードをあげて、キャリーバッグに好印象を持つようにしましょう

災害時や、通院時に、キャリーバッグが恐怖の対象になっていると悲劇です。

毎日の習慣で、キャリーバッグは良い場所だと覚えてもらいましょう。

猫を病院に連れて行く工夫は、以下の記事を参考にしてください。

【猫を病院に連れて行く工夫】


外を眺められる窓辺

猫の逃走防止は大切ではあるものの、猫が外の世界を眺められなければ虐待です。

猫は窓から外の世界を眺めるのが大好きなので、ベランダなどに邪魔されない、窓から外の様子が見える高い位置に猫の居場所を作りましょう。


他の猫に邪魔されない通路

複数頭飼育では、相性の悪い組み合わせでも同じ家に暮らす可能性があるため、単独飼育より猫のストレスは強くなります。

  • トイレに行きたいのに、相性の悪い猫がいて我慢する。
  • お水が飲みたいのに、怖い猫がいて水が飲めない。
  • ご飯の時間に、近くに強い猫がいて安心して食べられない。

トイレや飲食に関する場所に、猫が怯えずにアプローチできる通路が必要です。

一階と二階に完全に分かれて暮らす猫たちもいます。

特に、猫のご飯を近くに並べて一斉に与えている方は要注意です

猫は血縁ほどに相性が良くなければ、近くで食餌を摂ることがストレスです。

知らず知らずに猫にストレスをかけている可能性があるので、理想的な猫の食事ガイドライン、多頭飼育では猫同士の関係性についても知っておきましょう。


相性が気になって2匹目を飼うか迷っている方、以下の記事を参考にしてください。

猫二匹目を飼うか迷っている方へ伝えたい事


猫にとって必要なものと、必要な個数

猫の環境エンリッチメント 寝転ぶ子猫
猫にとって必要なものと、必要な個数

猫の環境に必要な物資は以下の物です。

  • トイレ
  • フード
  • 爪とぎ
  • おもちゃ
  • 休憩場所

多頭飼いの方はトイレを頭数分用意しましょう。また、場所に余裕がある方は頭数プラス1個のトイレがあると、清潔な状態が長く保て、ストレスが軽減されます。

トイレや爪とぎは、猫の気に入った材質、大きさを探ってあげましょう。

また、水とフード、トイレは必ず離れた位置にしなければいけません

匂いの強いものの近くにある水は猫にとって腐った水です

フードと水を並べている飼い主さんも多いのですが、それでは猫は苦痛を感じています。

必ず、水はフードやトイレなど、匂いの出るところからは離して置くようにしましょう。

  • トイレは頭数分以上用意する
  • 水、フード、トイレは離れた位置にする
  • 水は匂いが出る場所から離す


猫の狩猟本能、探索行動を満たそう

猫の環境エンリッチメント じゃれる猫
猫の狩猟本能、探索行動を満たそう

猫は一日に何度も狩りを行って、食餌をとって食べる動物です。

外の猫の食餌内容は以下の通りです。

  • ネズミのような小さな哺乳類
  • 小鳥
  • 昆虫
  • トカゲなどの爬虫類
  • カエルなどの両生類

このように小さな獲物を何度もとって、食べる食性です。

「獲物を探して獲る」という本能行動が満たされないのが完全室内飼育です


猫の狩猟本能を満たす工夫

猫が欲求不満にならないために、補食行動に似た遊びをします。

長時間あそぶ必要はないので、1日に3~5回ほど15分ていど実施しましょう

狩猟本能を満たす工夫は以下の通りです。

  1. 紐につけたおもちゃを獲物に見立てて追いかけさせる
  2. コロコロと転がすとフードが出てくる知育トイを活用する
  3. おもちゃを投げて、持ってきたらフードをあげる

留守中の暇つぶしや1人遊びは大切ですが、おもちゃによる怪我も心配なので、知育トイは猫の噛む力で破損しないような頑丈なものを選ぶようにしましょう


猫に探索行動をさせよう

猫は小さな獲物を探して補食します。

「探し出す」というところに猫の楽しみがあるようです

人が定時にフードを出してくれる環境は、幸せでありながら退屈です。

自分で探し出して見つけた!という時に猫は興奮や喜びを感じるのです。

以下のように工夫してあげましょう。

  • 少量のドライフードをいつもと違う場所に数か所置く
  • 高い所や見えない所でもOK

こうすることで、夜に活動する猫が暇で寂しさや空腹を感じないようになります。

猫の運動量も上がって、楽しみや生きがいも生まれ、行き場のない本能行動によって出ていた問題行動の軽減も期待できます


猫と人の適切な距離感と関係性

猫の環境エンリッチメント 暗闇の中の猫
猫と人の適切な距離感と関係性

猫は単独で行動することが多い動物です。

犬よりも飼いやすいとされるのは、この特性もあるでしょう。

しかし、猫は完全に孤独で生きていける動物でもなく、良い距離感でコミュニティーを形成しています

猫の集会を空き地で開いているのも、このためです。

子猫のうちから育てていれば、親子のような関係性になっていることが多いですが、猫は親子でもずっと一緒というわけではなく、良い距離感で一緒にいます。

では、猫にとって良い距離感とはどんなものでしょうか?

  • 猫のペースで、好みの状態で遊ぶ
  • 人は一貫性ある対応を
  • 嫌がる撫で方や、抱っこは強要しない
  • 過干渉しない
  • 孤独にさせ過ぎない
  • 恐怖や苦痛でコントロールしない

猫は我慢してしまう生き物です。

それぞれの猫によって、撫でる許容量や距離感が異なり無理矢理に抱きしめたり声掛けを高頻度に行うとストレスが溜まります

逆に、孤独過ぎてもストレスを感じるのが猫の難しいところ。

独り暮らしで猫を飼育している人で、忙しいケースでは、猫が孤独から問題行動を起こすことが多くなります


猫の嗅覚を意識しよう

猫の環境エンリッチメント ジャンプする猫
猫の嗅覚を意識しよう

猫は嗅覚が発達しています。

ご飯の近くのお水を飲みたがらないのも、そのせいです。

人にとっての常識は、食事とともに飲み物も必要ですが猫は違います。

お水は、匂いの強いものの近くだと、腐った水と判断されて警戒して飲みません

以下のような行動しているなら匂いを感じているのかも。

  • 飲水皿のお水を飲まない
  • お風呂場の水を飲みに行く
  • 洗面台のお水を飲みに行く


その他にも以下のことに気を付けて、猫の嗅覚を意識した環境を作るようにしましょう。

  1. アロマや芳香剤は使用しない
  2. 外の猫を触った後は手洗いや着替えを
  3. 猫のフェイシャルフェモンを利用する
  4. マーキング用の爪とぎを用意する
  5. 猫がこすりつけるところは掃除しない

特に、アロマや芳香剤は猫に中毒を起こさせるものもあるので、使用しないようにしましょう。


実は、猫は鼻で温度を感じています。
「猫の鼻」の詳しい記事は以下を参考にしてください。

猫の鼻には不思議がいっぱい!温度を鼻で測るって本当?フレーメン反応の秘密


まとめ

猫の飼育ガイドラインは①安心、②必要物資、③本能行動、④人との関係、⑤嗅覚からなっています。

猫の安心できる場所を用意し、必要物資は猫の好むものを選びます。

本能行動や人との関係性を理解して、猫のストレスを軽減しましょう。

人が気づかない匂いの問題は猫にとって死活問題なので、注意が必要です。

猫のガイドラインを知ると、猫が犬よりも飼いやすいなどと安易に思えないのではないでしょうか?

猫を長生きのために完全室内飼育にするためには、環境エンリッチメントが大切です。

【獣医師監修】
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管理人
猫人間

お猫様10匹に飼われている奴隷、ご機嫌を伺いながら毎日せっせと働いております。
今までの経験を活かして、実体験に基づいた、有益な情報を発信しています。

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