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【獣医師監修】猫の口内炎の症状を解説、重症化する前に病院へ

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猫 口内炎【獣医師監修】

猫の口内炎は飼い主にとって身近な問題です。

人の口内炎は放っておいても自然治癒することが多いですが、猫の口内炎は放っておくと重症になり猫の体力を著しく落としてしまいます。

猫の口内炎のサインに早く気づき適切な治療をするために、猫の口内炎について正しく理解する必要があります。

ひとみ先生
ひとみ先生

この記事では、猫の口内炎のサイン、原因、症状、治療方法について詳しく解説します。

矢場先生

・日本獣医生命科学大学獣医学科卒業
・首都圏の動物病院8年勤務

猫の口内炎のサイン、おかしいな?と思ったら病院へ

猫の口内炎のサインは飼い主に分かりやすい行動で表現されます。基本的には、口内炎による痛
みによって現れている行動になります。

口内炎は放っておくと、体重減少、虚弱体質といった深刻な全身症状を引き起こすため、愛
猫の口内炎のサインに早く気づき、動物病院で適切な治療をすることが重要です。


猫の口内炎のサイン

猫の口内炎のサインは

  • 左右対称の口腔粘膜の腫れ
  • 食事の際に口を気にして引っ掻く
  • 口を大きく開ける
  • 口を開くときの奇声
  • 口を開けようとすると嫌がる
  • 口臭、ヨダレが垂れる
  • ヨダレで口周りが汚れている
  • ヨダレに血がついている

などがあげられます。


猫の口内炎は放っておくと危険

猫の口内炎は通常痛みを伴い、特に食事の際に痛みを示します。食事の際の痛みは、長期間続く
と食事自体を拒否するようになり、全く食べなくなります。

食事を取らずに体重減少が進むと、栄養不足により体力が一気になくなってしまいます。免疫も
弱まり、感染症などの病気のリスクも上がります。

また、ヒトの口内炎は放っておいても自然治癒することが多いですが、猫は治りが悪い場合が多
く見られます。残念ながら、あらゆる治療を行なっても症状が改善しない場合も存在します。


猫の口内炎と似ている他の病気もある

猫の口内炎と同じ口腔粘膜の炎症は他の疾患でも見られます。

鑑別疾患として、甲状腺機能低下症、糖尿病、肝機能障害、腎機能低下などの全身性疾患、扁平
上皮癌などの口腔内腫瘍、天疱瘡などの自己免疫疾患があります。

これらの病気は口内炎の治療法とは異なるため、血液検査や生検などの検査で除外する必要があります。愛猫の口内炎が疑われる場合は、動物病院で検査をしてもらいましょう。


猫の口内炎の原因は?

猫の口内炎は

・ウィルスや口腔内細菌の感染
・免疫機能障害
・歯周病

などの様々な要因が複雑に関与しています。
しかし、猫の口内炎に関する研究報告はほとんどなく、詳細は不明です。


ウィルスや口腔内細菌の感染

口内炎の猫の口腔内からウィルスが分離されることから、ウィルス感染が口内炎の要因の一つと
されています。

ウィルス感染

ウィルス感染では、ネコカリシウィルス、ネコヘルペスウィルス、ネコ免疫不全ウィルス、ネコ白
血病ウィルスの感染関与が疑われています。
この中でも一番関与が疑われているものは、ネコカリシウィルスです。

ネコカリシウィルス感染の主な症状は、鼻炎や結膜炎の上部気道疾患でよく知られている猫風邪
の症状と口腔内の水疱および潰瘍形成です。

しかし、ネコカリシウィルスだけでは食欲低下を起こすような口内炎に発展することはなく、多くの場合、ネコ免疫不全ウィルスやネコ白血病ウィルスの感染を伴っています。

このように、複数のウィルス感染が口内炎を引き起こしているとされています。

口腔内細菌感染

口腔内細菌も口内炎の要因に関与していると考えられています。
代表的な菌として、Bartonella henselae, Porphyromomas属, Tannerella forsythia,
Mycoplasma felis, Chlamydophila pheris などがあげられます。

しかし、これらの微生物が感染していない場合にも口内炎は見られることがあり、原因は十分に
解明されていません。

多頭飼育が発症リスクを上げている

ウィルスや細菌の感染因子に多頭飼育という環境ストレスがあります。
多頭飼育では他猫とのトイレ・食事・水の共有によって容易に感染症が蔓延し、繰り返し感染す
ることで発症リスクが上がっていきます。


免疫機能障害

免疫機能障害である細菌の出す毒素やウィルス感染に対する過剰な免疫反応も、口内炎の原因の
一つと考えられています。
しかし、これらの免疫学的研究の報告はほとんどなく、詳細は不明です。

歯周病

猫の歯周病と口内炎には関連性があり、口内炎の猫の多くは歯周病を併発しています。
歯周病の猫の口腔内細菌叢は口内炎の口腔内細菌叢と類似しているという報告からも、歯周病と
口内炎の関連性が示唆されます。

ウェットタイプのフードは歯周病のリスクを上げている

猫の口内炎は、食事との関連も指摘されています。
ウェットタイプとドライタイプのフードを食べている猫の歯周病保有率を比べてみると、ウェッ
トタイプのフードは歯石を形成しやすい傾向があるため、歯周病保有率は高いという報告があり
ます。

歯石歯垢沈着が歯周病のリスクを上げる原因は、歯石および歯垢中の細菌が歯周病の原因となっ
ているためです。


猫の口内炎の症状 軽症から重症

猫の口内炎の症状は、口腔粘膜の腫れから始まり、次第に唾液の分泌量が増え、痛みも伴うよう
になり、徐々に食欲が低下し、最終的に食欲廃絶、体重減少などの全身症状を示すようになりま
す。

軽症

歯肉および口腔粘膜に炎症はあるが、流涎や痛みは少なく食欲は通常通りある。
猫は食べるときに、口を気にして擦ったり、口を大きく開けるといった痛そうな素振りをする。

中等症

歯肉および口腔粘膜に炎症があり、流涎や痛みもあり、食欲がやや低下する。
猫は食事の際に常に痛みを感じ、食べることを躊躇するようになる。口内炎の進行により唾液分
泌量も増え、血混じりの唾液が垂れ、口の周りが汚れている。

重症

歯肉および口腔粘膜に広範囲に炎症があり、著しい痛みがある。食欲の低下だけではなく体重も
減少し全身状態も良くない。


猫の口内炎は自然に治る?治療方法は?

猫の口内炎の症状の進行は比較的緩やかではありますが、一般的に無処置で改善することはあり
ません。

強い痛みがある場合には、長期間放置すると食事を嫌がるようになってしまうので注意が必要です。痛みが強い場合には、早めに治療を開始しましょう。


猫の口内炎の治療方法

猫の口内炎は原因が特定されていません。口内炎の発症に関与している要因は多岐に渡ると考え
られているため、様々な治療法が報告されています。

猫の口内炎は、適切な治療を行うことができれば、症状を改善することができます。
以下に、その代表的な治療方法を説明します。


軽症例の治療法

軽症例であれば、口腔内の歯石歯垢除去などの衛生管理を行い、その後、デンタルジェルや可能
であれば歯磨きなどのケアで維持することも可能です。

しかし、強い仏痛のために口腔内のケアは困難な場合が多く見られます。そのため、治療は主に痛みに対する内科的な対症療法となります。

重症例の治療法

症状が進行してしまった場合には、外科的な治療を行うことが必要です。

重症例では術後もしくは数ヶ月後に口腔内環境を改善する補助的な治療や管理が必要となる場合もあります。

内科的治療法

猫の口内炎の内科的な治療方法は、基本的に内服薬の治療になります。近年では再生医療の間葉
系幹細胞療法も注目を浴びています。
猫の口内炎内服薬
・抗菌剤
・非ステロイド系抗炎症薬
・ステロイド系抗炎症薬
・オピオイド(ブプレノルフィン)
・免疫抑制剤(シクロスポリン)
・インターフェロン
・自家脂肪由来間葉系幹細胞

抗菌剤

1から2週間の休薬期間をはさみながら、3から4日間の抗菌薬の投与を行います。
同じ抗菌薬を使い続けることで薬剤耐性菌を生じ、効果がなくなる可能性があるため注意が必要
です。

非ステロイド系抗炎症薬

一定の消炎鎮痛効果が期待できますが、ステロイド系抗炎症薬ほどの効果は期待できません。仏
痛が著しい場合には単独使用では改善できない場合が多いです。
長期間の使用による副作用は腎障害や消化管出血があります。投薬の際は、定期的に血液検査で
確認する必要があります。

ステロイド系抗炎症薬

強い消炎鎮痛作用と免疫抑制作用のため、高い効果が期待できます。しかし、長期間連用すると
糖尿病などの副作用のリスクが高くなります。
また、経口薬投与が難しい場合には、長期間効果のある注射薬もあります。その使い勝手の良さ
から、実際の現場では、全ての猫が経口投与が可能ではないので、しばしば長期間効果のある注
射薬を使用します。

オピオイド(ブプレノルフィン)

ブプレノルフィンは非常に強い仏痛効果を期待できます。日本で扱える製剤は基本的に注射薬にな
りますが、海外薬では猫用経口薬があります。
また、ブプレノルフィンは向精神薬となるため取り扱いにくい製薬となります。

免疫抑制剤(シクロスポリン)

シクロスポリンは過剰な免疫反応を抑えるため、高い効果が期待できます。しかし、口腔内の衛
生状態が改善されていない場合には効果が薄くなります。高い効果を発揮するためには、外科的
な治療の抜歯も併用することが望ましいとされています。

インターフェロン

ネコインターフェロンωは、単独使用では治療効果は期待できません。外科的治療の補助として使
用します。
犬用に開発されたイヌインターフェロンα製剤(インターベリー)は猫の口内炎にも良好な効果
が期待できます。甘い味付けがされているため使い勝手も良く、ホームケアとしても使用できま
す。しかし、猫への使用は適用外のため、猫に使用するかどうかは獣医師の判断に委ねられます。

自家脂肪由来間葉系幹細胞

難治性の猫の口内炎に対して、自家の脂肪組織由来間葉系幹細胞を投与する最先端医療もありま
す。この幹細胞療法は全抜歯および内科治療をしても症状の改善がない難治性の症例にも有効と
いう論文報告があります。しかし、まだ主流の治療法ではないため実施できる施設は限られてい
ます。

猫の口内炎外科的治療法

猫の口内炎の外科的な治療方法は、基本的に全身麻酔下にての処置となります。猫の症状と麻酔
リスクを考えて治療を行います。
猫の口内炎外科的治療法
・スケーリング
・抜歯
・レーザー治療

スケーリング

スケーリングは予防的な歯科処置です。歯石歯垢を除去し口腔内細菌を減少させることが可能で、
口腔内環境を改善する効果が高いです。しかし、全身麻酔下での処置となるため実施しにくい点が
あります。
軽度な症例であれば、歯石歯垢除去で口内炎を抑えられる可能性もあります。しかし、歯石歯垢
はすぐに再度付着してしまうため、歯石歯垢予防も同時にする必要があります。

抜歯

全身麻酔下で行う抜歯の中でも、全臼歯抜歯と全顎抜歯は最も効果的な治療法と考えられていま
す。

全臼歯抜歯とは臼歯という大きな奥歯を全て抜く処置であり、全顎抜歯は全ての歯を抜く処置で
す。全身麻酔をかけての侵襲性の高い手術になるので、術後の管理も難しく費用も高くなります。

抜歯の効果は、約半数は抜歯後1ヶ月程度で有意な改善が見られますが、抜歯をしても全体の6%
は改善がない難治性口内炎が存在します。

歯を抜くという行為に対して強い不安を抱いている飼い主が多くみられますが、猫は人とは違
い、食べるという行動に歯の存在は大きな意味を成していません。猫は食べ物を咀嚼せずに飲み
込んでいます。

したがって、通常の飼い猫のドライフードであれば歯がなくても食べることに不都合はありません。むしろ、猫は痛い歯が無くなり痛みから解放されるため快適になります。

レーザー治療

炎症を起こしている口腔内粘膜をレーザーで蒸散させる治療です。重度の症例では効果は期待でき
ません。

また、1回の処置では効果は少ないため、複数回、全身麻酔下で実施する必要がありま
す。治療効果は他の外科的な治療に及ばないため、抜歯の補助として使用することが多いです。

自宅でできるホームケア

ホームケアの目的は、口腔内細菌を減らすこと、菌に対する過剰反応を抑えることです。
スケーリングや抜歯処置後に残った歯に対する歯みがきやデンタルジェル、口腔内環境を整える
サプリメントやフードなどのトータルケアを行います。


歯みがき

歯みがきは口内炎の痛みがあるうちは猫が受け入れないので、十分に炎症が治ってから行いま
す。

デンタルジェルは抗炎症作用や抗菌作用を持つラクトフェリンが含まれているものが有効です。市
販の物でも様々な製品が販売されています。ラクトフェリン以外に口腔内善玉菌を含んだ製剤もあ
ります。

デンタルリンス

口腔内を洗浄することも口腔内環境を整えるために重要となります。歯みがきを受け入れない猫
には、口腔内洗浄用のデンタルリンスを飲み水に溶かして与える方法も効果的です。


おわりに

猫の口内炎のサイン、原因、症状、治療法について解説しました。
愛猫の口内炎のサインに早く気づき、症状が進行する前に適切な治療をすることで、症状を和ら
げることができます。

愛猫の生活の質を維持するために、猫の口内炎のサインを見逃さないように注意しましょう。
愛猫の口内炎のサインを見つけたら、他の病気の可能性もあるため、早めに動物病院へ受診する
ことをおすすめします。

猫の口内炎の原因は多岐に渡り、研究報告は少なく詳細は不明です。
猫の口内炎の症状は主に痛みによるものです。

また、猫の口内炎の治療方法はお手軽なものから敷居の高いものまで様々あるため、個々の猫の
性格や症状に合った治療法を選びましょう。

【獣医師監修】
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管理人
猫人間

お猫様10匹に飼われている奴隷、ご機嫌を伺いながら毎日せっせと働いております。
今までの経験を活かして、実体験に基づいた、有益な情報を発信しています。

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